〜事業報告書〜

開催概要

事業名

新時代の女性のワーク・ライフ・バランスを考えるセミナー ~日中間の女性の働き方の違いとは〜

事業実施日時

2011年12月4日(日) 開場13:30 開始14:00 閉会17:00

実施会場

国際文化会館

事業の内容・目的

高度経済成長を経て低成長時代が20年ほど続いている日本における女性の雇用環境、また家事育児と仕事とのワーク・ライフ・バランスの最新情報を専門家から聞く。
隣国の中国では、急激な高度経済成長にあって女性の経済活動における寄与も著しく、家事・育児のアウトソース環境も整って、ワーク・ライフ・バランスの考え方も日本とは違ってきている。
日中の女性を取り巻くワーク・ライフ・バランスの違いを知る。

会場の様子

会場の様子 会場の様子 会場の様子

事業内容

牛尾 奈緒美
スピーカー:牛尾奈緒美氏
明治大学情報コミュニケーション学部教授
ジェンダーセンター副センター長
株式会社セブン銀行 監査役

講演概要

社会的な地位がなくなり、「牛尾さんの奥さん」という自分になることへの違和感

ジェンダー・マネジメント

・企業経営における人の問題をジェンダーの視点で考える
・性差ではなく、自分の価値観で自分の生き方を決めるための「ワーク・ライフ・バランス」

幸福度ランキング

1位:福井県、2位:富山県、3位:石川県
 → 女性の就職率が高い/低失業率/親世代との同居・地域の助け合い ⇒ 子育てがしやすい
[80年代]「ファミリーフレンドリー」「ワーク・ファミリー・バランス」という言葉がアメリカで生まれる。
 ⇒ これらをさらに発展させ、「ワーク・ライフ・バランス」になった。
  男女問わず働きやすい環境
・就労による社会的自立が可能
・フリーター減少、女性就職率UP、高齢者就職率の向上、多様な働き方・生き方の選択
・有給取得率アップ(47% → 70%)

日本における女性就労の意識

●国にとって
・労働力確保とGDP拡大
・UNの女子差別撤廃条約批准により、男女平等を推進する責務 → それに応じた法律の改正が進んでいる
・MG型就労を是正すると、労働力は120万人増加するとみられている → GDP20%アップにつながる
●企業にとって
・経営戦略としてのdiversity managementやpositive action
・組織に活力と創造性
・CSRやIRの一環として見過ごせない課題
・女性の能力発揮、就労継続の支援
上位15%の地位に女性が多い社会の方がうまくいっている
●個人にとって
・ジェンダー意識の変化(若年層に多い)
・男性の収入だけでは生きていけない現実
・働き続けることを望む人の増加(男性、女性共にこの考え方の支持者が増加している)
●現状
・男女間の格差は依然大きい
・M字型(改善はしてきている)
 ※しかし、未婚率が上がってきているということともとれるため、ワーク・ライフ・バランスの改善のためとは限らない。
・再雇用の難しさ
・給料の格差(男性:女性=10:6.9) → 非正規雇用だと10:5程度
 ※半分以上の女性は非正規雇用
・正規社員の少なさ
・高学歴女性は、子育てが落ち着いたら職場復帰する確率が低い(夫も高学歴の場合が多いため)
・3分の2の女性が、第1子出産後に仕事を辞めている
・女性の管理職になりにくい(部長だと4%程度)

女性取締役割合

●国別の割合
・ノルウェー44.2%、スウェーデン21.9%
・日本は1.4%(42か国中38位)
●理想と現実の違い
・役割分業が消えない(男性は外、女性は内)
・不本意なキャリア
 ※「ダグラス-有沢の法則」
 夫の所得/妻の就職、賃金/夫の家事支援/育児休業/親世代との同居/子育てへの価値観
 →これらが女性の就業に影響を与える

国・行政の支援

保育施設を増やす、幼保一元化、両立支援の相談、イクメンキャンペーン(夫の意識改革)
Ex) 「京都府マザーズジョブカフェ」

企業・個人ができること

・起業のチャンス到来
・「くるみん」マーク
・働く女性の増加により、保育サービスが増える
・ネットワークビジネス
 Ex.)ポピンズ 1987年設立(充実した子育て支援サービス)
   株式会社ワーク・ライフ・バランス…職場復帰の支援プログラム、armor(アルモ)の導入、在宅でe-learning
霍 虹(フオ・ホン)
スピーカー:霍 虹(フオ・ホン)氏
中国マーケティング会社
シノモニターインターナショナル副社長

中国ではどのくらいの女性が働いている?

20~59歳の約8割が働いている。
・男性:87.4% (内訳)20代…81%・30代…95%・40代…94%・50代…73%
・女性:71.9% (内訳)20代…75%・30代…86%・40代…81%・50代…23%
 専業主婦 :9.1% (内訳)20代…7% ・30代…9% ・40代…10%・50代…11%

男性も家事を分担すべき?

賛成=男性:54.2%、女性:62.0%

働く女性は家事をどうしているか

「小時工」や「保母さん」による、働く女性支援
 → 家事(食事、買い物、掃除など)をしてくれる家政婦のようなもの
  最近は、1ルームのアパートに暮らす女性でも週末に家事を頼むことがある。
「小時工」や「保母さん」への男女の共識
 → 男性の44.6%、女性の43.6%が現状に満足している

働く女性は育児をどうしているか

20'sの女性にとって子育の負担が最も仕事に響く
●仕事をしている女性の割合
・子供有り:20代…69% ・30代…86% ・40代…81% ・50代…22%
・子供なし:20代…88% ・30代…86% ・40代…81% ・50代…33% ●子育てを支援する「保母さん」の存在
・経験豊富な保母さんはひっぱりだこ
・10年連続で給料年間20%アップ
・中国では親の介護や子育てのために仕事を辞める女性が少ない一因 ●中国式子育て
・母親 → 祖父母 → 保母さんというサイクルがある ●働く女性の産休について
・2008年版 労働法『女職工労働保護規定』…中国では、自分の権利をしっかり守ろうという意識が強い

女性の社会進出の歴史

毛沢東による「婦女半辺天」→女性が仕事をできる環境作り
10年に一度「中国婦女社会地位調査」を実施
(健康・教育・管理参加・家庭地位・経済力(18~64歳の在職率)etc)
●「婦女権益保障法」
・法律認知度:83.4%
・遺産相続の平等に賛成 76.3%
・就職における性別差別
・妊娠出産による解雇
・女子を出産による差別

問題点

●家政婦「月嫂」
・需要拡大により、人手不足・管理の問題・職業訓練不足・社会保障の不備
●親の問題「老漂族」
・地方から、住みなれない都会に出てくることへの不安、孤独感
・孫の子育てに関する嫁との食い違いによるストレス、疲労
●80年代生まれの親「80后」
・解放経済
・1人っ子政策初期の子供を持つ親
・豊かな物質環境
・「倂養」…4~5人の子供たちを1か所にまとめて保母さんが面倒をみる

専業主婦を敬遠する理由

・85%の女性が「専業主婦をやりたくない」と回答
・家庭地位の支え→収入の減少によって、過程の地位が下がる
・社会とのつながり「圏子」の重要性
・社会の変化に置いていかれることへの不安
・共働きの夫との共通の話題が持てる
・働いている女性の方が魅力的というイメージ
・家庭と仕事の両立 → 生活の充実
 ※高収入の夫の方が、妻が専業主婦になることに賛成している割合が高い

これからの多様化する中国女性

・リーダーに見られたい   …女性40.0% 男性48.7%
・独立性          …女性55.0% 男性56.0%
・再就職をそれほど恐れない …女性40.0% 男性42.6%
・成功=金銭        …女性53.6% 男性55.5%
◇中国では、親の世代から女性が働くのは当たり前
◇保母さん、祖父母の協力も一般的
◇土、日は子供の英才教育に熱心な親も多い
◇今後は社会制度の構築など、国・政府の協力も必要